月経困難症の治療、漢方治療
<お知らせ>
漢方養生術 週刊朝日ムック・本格漢方「漢方2011 漢方の名医はこう治す!」症状別・最近漢方治療で院長が取材、掲載されました。
月経困難症 ~教えて生理痛~
疾患
月経困難症の定義
日常生活に支障をきたす生理痛を月経困難症と定義します。
月経困難症の分類
【Ⅰ器質性月経困難症】
子宮内膜症、子宮筋腫などが原因となる月経困難症。
【Ⅱ機能性月経困難症】
原因となる子宮の病気がない月経困難症。内分泌失調・自律神経失調などが原因とされています。
治療
月経困難症(生理痛)の漢方治療
痛め止めの錠剤は痛みの原因物質の合成を阻害することにより痛みに対応しています。
漢方治療は痛みを発生させる身体の偏りを補正して痛みを改善してゆきます。痛みの原因としては、血行不良、自律神経のバランスの乱れ、栄養不足があげられ ます。原因であるこれらの身体の偏りが改善されると痛みが起こりにくくなり生理痛が無くなってゆきます。月経困難症でつらい思いをされている方には漢方治 療も重要な治療といえます。
1、お血(血行不良)による月経困難症
月経困難症は、血流が悪く経血が停滞して血塊ができる状態。血塊があるため子宮が収縮した時に痛みます。
漢方治療と適度な運動が必要です。
【月経困難症に処方する代表的な漢方治療】
①[処方]桂枝茯苓丸
[構成]
桂皮(ケイヒ) 芍薬(シャクヤク) 茯苓(ブクリョウ) 桃仁(トウニン) 牡丹皮(ボタンピ)
②[処方]温経湯
[構成]
麦門冬(バクモンドウ) 半夏(ハンゲ) 当帰( トウキ)甘草(カンゾウ) 桂皮(ケイヒ) 芍薬(シャクヤク)川きゅう(センキュウ) 人参(ニンジン) 牡丹皮(ボタンピ) 呉茱萸(ゴシュユ) 生姜(ショウキョウ) 阿膠(アキョウ)
2、肝鬱気滞(自律神経のバランスの乱れ)による月経困難症
ストレスで緊張が強く、子宮が強く収縮するために痛みます。
漢方治療とストレスをためないことが必要です。
【代表的な漢方治療】
①[処方]加味逍遙散
[構成]
柴胡(サイコ) 芍薬(シャクヤク) 蒼朮(ソウジュツ) 当帰(トウキ) 茯苓(ブクリョウ) 山梔子(サンシシ) 牡丹皮(ボタンピ) 甘草(カンゾウ) 生姜(ショウキョウ) 薄荷(ハッカ)
②[処方]抑肝散加陳皮半夏
[構成]
柴胡(サイコ) 釣藤鈎(チョウトウコウ) 蒼朮(ソウジュツ) 茯苓(ブクリョウ) 当帰(トウキ) 川きゅう(センキュウ) 陳皮(チンピ) 半夏(ハンゲ) 甘草(カンゾウ)
3、気血虚(栄養不足)による月経困難症
消耗により気血が足りないと子宮を栄養できないために痛みます。
漢方治療、休養が必要です。
【代表的な漢方治療】
①[処方]十全大補湯、
[構成]
当帰(トウキ) 川きゅう(センキュウ) 芍薬(シャクヤク)地黄(ジオウ)
蒼朮(ソウジュツ)または白朮(ビャクジュツ)茯苓(ブクリョウ) 人参(ニンジン)
桂皮(ケイヒ) 黄耆(オウギ) 甘草(カンゾウ)
②[処方]人参養栄湯
[構成]
人参(ニンジン) 黄耆(オウギ) 当帰(トウキ) 地黄(ジオウ)白朮(ビャクジュツ) 茯苓(ブクリョウ)芍薬(シャクヤク) 桂皮(ケイヒ) 陳皮(チンピ) 遠志(オンジ)五味子(ゴミシ) 甘草(カンゾウ)
超低用量ピル・ヤーズ配合錠
漢方は苦手という方には月経困難症にはピルを内服する治療があります。
日本で初めて保険適応で処方出来る「超低用量ピル・ヤーズ配合錠」。
平成22年11月、日本で初めてのエチニルエストラジオール(E2)20μgのピルが保険で処方できる様になりました。 超低用量タイプのピルで月経困難症(生理痛)、に対して日本で初めて保険適応となりました。 保険適応は月経困難症(生理痛)のみとなっています。 保険適応のピルですので月経困難症(生理痛)にピルを使うという事に抵抗感があった方や月経困難症(生理痛)で悩んでいる方の治療として保険証持参の上、ご来院ください。
【ピルを飲んではいけない人】
1.以前ピルを服用してアレルギーを起こした人。
2.乳癌、子宮癌の疑いのある人
3.原因不明の不正出血のある人
4.脳血管障害、冠動脈疾患にかかったことのある人
5.35才以上で1日15本以上のタバコを吸う人(35才以下でも喫煙される方はピルの内服は避けた方がよいです)
6.心臓弁膜症のある人
7.血管病変のある糖尿病のある人(糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症)
8.血栓性静脈炎、肺血栓症などの血栓性素因のある人(本人もしくは血縁者が静脈血栓塞栓症を起こしたことがある場合)
9.抗りん脂質抗体症候群の人
10.肝疾患のある人
11.高血圧のある人
12.耳硬化症のある人
13.妊娠中に黄疸、持続性掻痒症または妊娠ヘルペス症状のあらわれたことのある人
14.妊婦または妊娠している可能性のある人
15.授乳中の人
16.思春期前の女性
17.重度な肥満
※参考文献;OC情報センターより抜粋
備考:
● 1年に1回は産婦人科の検診をうけてください。
● 「ピルを飲むと太りますか?」という質問をされる事がありますが、世界規模の5つの研究ではいずれも、ピルは太るという結果は出ていません。