QUESTION16.
アディポネクチンが低値だと喘息になりやすいですか?
Answer
血清アディポネクチン値により女性の将来の喘息発症リスクを予測しうると,米ニューメキシコ大学のグループがAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicineの7月1日号に発表しました。
米国で1450人の女性を対象とした調査を行った結果、脂肪細胞から分泌されるホルモンであるアディポネクチンが血清中に少ないと、喘息のリスクが相関すると示唆されることが明らかになりました。 対象者は若年者における冠動脈疾患リスク調査(CARDIA)に参加した女性で、うち1011人は閉経前でした。 対象者を血清アディポネクチン濃度で3分割し、追跡開始から5年、10年、15年、20年時点での喘息発症状況を比較しました。 その結果15年時点でアディポネクチン濃度が低いと、20年時点で喘息に罹患しているリスクが有意に高まり、特に喫煙者において、この疾患の予測因子となることがわかりました。 また喘息発症に影響するほかの因子と比較したところ、アディポネクチン濃度が低いことのほうが、BMIよりも喘息リスクと強く相関しました。
この調査がCARDIAの参加者のみを対象としていることや、対象者がアディポネクチン濃度の測定が可能な機関に通う者に限られています。研究者は地域バイアスがかかっていることを前提としながらも、アディポネクチンの分泌量を増やすことで喘息が予防される可能性を示唆しています。